ヒトツボシ ーヤンキー家政夫と美味しい食事ー

どのくらい走ったのか。


私はふと、景色に見覚えがあると気づいた。


あまり馴染みのない場所まで来たはずなのに、街並みに微かに覚えがある。


たぶん全てを知っているのではない。


おぼろげな記憶から変わっているところもある。


それでも、既視感があった。


一体、いつ――。


考えたところで、お母さんとお父さんの笑顔が脳裏に浮かんだ。


今より若いころの二人と私がどこかの公園で遊んでいる。


お母さんとの思い出なんて残ってないと思っていたのに、記憶の奥底に眠っていたことに驚く。

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