君が思い出になる前に…
Time-slip
 夕方から降り出した雨は、夜半過ぎから、本降りになってきた。
梅雨の嵐とでもいうのだろうか。雷の鳴り響く、蒸し暑い夜だった。
時々窓の外が昼間のように明るくなる。ピカッと光ると、すぐに地響きするような雷鳴がした。
何十回目かの雷は凄かった。
真っ暗だった部屋が真っ白になり、部屋の中に空間が広がっているかのような錯覚に陥った。
その瞬間バリバリバリバリバリバリ!!
間違いなく落ちた。それもこの家に落ちたんじゃないかと思うぐらい、家がグラグラ揺れた。
びっくりして起き上がり、窓のカーテンを開けた。
すると驚くことに、今までの嵐が嘘のように静まり返っていた。
雨は上がって、月が出ている。
何事も無かったかのように、西の空に細い三日月がぼんやりと霞んで見えた。
なんだったんだ?今までの嵐は…。
静まり返る真っ暗な夜。
ベッドに戻ってはみたが、眠れない。
それどころか、吐き気までしてきた。頭が痛い。我慢できない程ではないが、こめかみの辺りがギリギリする。

眠ったのか眠れなかったのか、全然わからない。そんな朝って時々はあったけど、今日は特別な気がした。

瞼が重い。
体の疲れが全然取れていない。

やっとの思いで起き上がった。
「ん?なんだこれ…」
壁と天井に中山美穂のでかいポスター。
おれの部屋か?
360度見渡したが、間違いなく自分の部屋。
だけど、おれの部屋じゃない。
これっておれの子供の頃の部屋じゃないか?
どういう事なんだ?一体全体どうなってるんだ?

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