君が思い出になる前に…
部屋を出て居間へ行った。
テ、テレビが…!
交換したばかりの液晶テレビがない!
交換する前の20年近く観ていたテレビになっている。
誰の仕業なんだ?
誰がやった!?
気のせいか、鴨居が高く感じる。やっぱり二日酔いのせいなのか?
まだ頭が痛い。
顔を洗えば少しは変わるだろう…。
洗面所へ行き、鏡の前に立った。
「あぁ~!なんだぁ~!こ、こ、これ、どうなってんだぁ!!」
鏡に写ったのは、見覚えのある少年の顔!中学生の頃のおれじゃないか!
鏡をこすっても変わらない!顔をこすっても。
分かっているけど、やらずにはいられなかった。
「どうなっちまったんだ!?一体!」
その場にストンッと尻餅をついてしまった。と言うより、腰が抜けてしまった。
這いつくばって、居間に戻り、古いテレビをつけてみた。
『ズームイン!』って、福留さんがやってる。今日は朝から特番か?昔の司会者が出てる。
慌ててテーブルの新聞を見た。
日付…!!
平成…よ、4年!?
6月10日って…!?
今日は平成19年6月10日だろ!?
どうなっちまったんだよ…。
おれ、正気か?
これって夢?
「痛ってぇ!」
ベタだけど、ほっぺたをつねってみた。夢じゃない!
会社に電話してみよう。
そう思い部屋へ戻って携帯を探した。
見当たらない。どこにも…。
夕べ机の上で充電していたのに、充電器さえ見当たらない。
車の鍵!スーツがない!
これって…。学生服!?
机の上には中学の教科書!それに学生カバンまで!
どうなっちまったんだよ!
15年前の中学生になったって!?
そんな馬鹿な!!
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