君が思い出になる前に…
でも、今日はこれくらいにしておきますか?
「やめ~!」
結城先生、グッドタイミング。
「明日は中間テストだ。今日はここまでにする」
赤いネクタイ相変わらず似合わないです。
「あしたぁ~!」
懐かしいねぇ。
『あしたぁ』とは、『ありがとうございました』を短く言ってるんです。みんな結城先生に礼をした。
智也がすかさず寄ってきた。
「どうしたのよ!お前、なんか今日は別人みたいだなぁ…」
そうだよ。中学生のおれじゃないもの。ある意味別人ですよって、言ってやりたいよ。この偉ぶった奴に。
まぁおれは大人だから、やめときます。
「そうか?いつもと変わんねーよ」
だけどちょっとだけ偉ぶって言ってやった。

帰る準備をしてると絵美がやってきた。絵美は新体操部だった。
練習してるところをたまたま覗いた時、しなやかに踊るレオタード姿の彼女を見てドッキリしたんだ。それで惚れちゃったんだっけ。
「終わった?」
またスカート巻きあげてる。かなり目立つって…。
「うん…」
バッシュを脱ぎロッカーの中へ。
「帰ろ♪」
絵美、ほんとかわいい…。ロリコンになっちゃってもいいですか?神様…。
「うん…。どっこいしょ」
と、腰を上げた。
「今、どっこいしょって言った?じじ臭ぁ~」
そう言って絵美が笑い出した。
「わ、笑うなよ…」つい、いつものように口から出ちまったんだから…。

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