君が思い出になる前に…
「変に決まってるじゃない。なんで北高なのよ…。冗談言ってんの?それとも大学行く気なくなったの?」
おれって大学目指してるんですか?
紀子の話しがダブってきた。
「あっ、あの違くて…。鳴醒って…」
「鳴醒行く為に勉強してるんでしょ?」おれってそんなに?「えっ、あ、あの、おれ…」
「あんたバカなんだか、頭いいんだかわかんないよねぇ…。本当に本当にほんとぉ~に大丈夫?」
姉さんは呆れ顔で心配してるよ…。
ポカンとしたまま、姉さんの話しを聞いていた。
「もう、いいや。あたしは寝る!おやすみ!」
怒ってるみたいだ。意外と怖い姉さんです。
「おやすみ…」
短パンのお尻が妙に色っぽい。それを眺めながらボソッと言った…。

鳴醒を目指してる?おれが?本当かよ…。
そうだ!通信簿…。通信簿どこだっけ?
あっ、机の引き出し…。
部屋に戻り、引き出しをごそごそやった。
あった!
どれどれ…
これはおれの通信簿じゃない!
名前は確かに『元宮祐作』って、なってるけど…。
こんな通信簿、見たことないよ…。
おれのじゃない、絶対に有り得ない。
ほとんどの教科が『5』って…。

夕べはあれからほとんど眠れなかった。当然か。あれだけの事が頭を駆け巡ったんだから…。

この世界にきて、3日目の朝。
昨日と変わりない部屋の眺め…。15歳の世界のままだ。

「祐~!おきなさい!」
これも昨日と同じ姉さんの声。
「はっ、は~い」
だるい声で返事した。
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