君が思い出になる前に…
紀子に話しがしたい…。
紀子と一緒に解決策をみつけたい。そう思っていた。唯一話しのできる相手は紀子だけだから。

「見て見て!加賀さん、5番だって!凄いなぁ~」
紀子の名前をみつけて絵美が感心している。
たしかに凄い。
これは、パラレルワールドの仕業ではない。
紀子は昔も優秀だった。
入試前の時期、時々勉強を教えてもらっていたっけ…。
「一番は?あ、うちのクラスの木ノ下君だ…。445点だって。やっぱり凄いなぁ」
木ノ下?あぁ、絵美のクラスになんか青っちろい顔した奴いたなぁ…。
いつも参考書を眺めていた奴。
そうそう、こういう奴が鳴醒に行くんだよな…。
で、国立大とか有名な私立大を目指すんだ。
おれとはまったく違う人種なんだよな。けど、こうゆう人種も間違いなく存在する訳で…。
でも、おれがそうなっていても不思議でもなんでもない訳だ…。
決して有り得ない事でもないんだよ。
生活環境とかの問題じゃない。
やっぱり自分のやる気なんだろうな。
自覚さえあれば、そうなる事も夢じゃないんだ。
だって同じ時間を割り当てられてるんだから…。
そう、生まれてからこの歳まで。みんな数ヶ月の違いはあるけど、同じ15歳な訳だし。なにも違いはないはずなんだ。


< 55 / 200 >

この作品をシェア

pagetop