君が思い出になる前に…
堤防
 その日の部活動を終えると、絵美が校門の前で待っていた。
バスケット部の数人の仲間と一緒に出てきたおれに手を振っている。
「おいおい、姫がお待ちかねですよぉ~」
冷やかされ、背中を押された。
「ヒューヒュー」
よろけながら、絵美の前に駆け寄ると、更に冷やかされた。悪い気はしないけど…。
「一緒に帰ろぉ」
昔見た笑顔。覚えている。
「うん」
15歳のおれは、赤面してたんだろうな。
15年前にも確かにあった。こんな初々しい時間。ずっと止まっていた。思い出の中に…。

「ごめんね、冷やかされちゃったね」
と、絵美。
「そんな事ないよ、実は嬉しかったりして…」
絵美の顔を見て言った。
「ほんとに?」
少し顔を赤らめている。
「うん、ほんとだよ」
と。懐かしい思い出です。こうして帰れるのも…。
いや、思い出じゃない。今の現実なんだから…。
「今度さぁ、元宮君ちに遊びに行ってもいい?」
少しうつむき加減で恥ずかしそうに言った。
「おれんち?」
「だめぇ?」
不安げにおれの顔を見ている。
「だめじゃないよ、全然大丈夫だよ。いつでもおいで」
笑顔が引きつっているだろうな…。
「ほんとにぃ!じゃあ、明日の土曜日に行ってもいい?部活動が終わってからでもいい?」
嬉しそうに言う絵美。
「う、うん。いいよ、もちろん」
こんなに嬉しそうな顔を見せてくれるんだ…。
「よかったぁ、じゃ楽しみにしてる!」
楽しみにしてるって、一昨日も言ってたなぁ…。
遊園地。今度の日曜日だよな。
土曜日と日曜日、連日絵美といっしょか…。
紀子には会えないなぁ…。
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