君が思い出になる前に…
誤解
 土曜日…。
まだ週休二日制になってないこの時代。午前中で終われるうれしさって、あったなぁ…。
休みじゃなく、午前中ってのがいいんだよ。
部活動もせいぜい3時位までだったし。

今日は紀子と、全然話しをしなかった。教室で見る彼女は、なんの違和感もなく、ごく普通の中学生生活を送っている。
昨日紀子が言っていた事を思い出していた。
本当に元の世界の事を、忘れるつもりなんだろうか…。
そんな事できるのかなぁ…。
勤めていた会社の事とか、彼女の婚約者の事とか…。
ここでの暮らしは、きっと快適なんだろう。
若さも幸福も手にできたって喜んではいたけれど。
でも心の底では、婚約者の事を、今も想ってたりするんじゃないかな…。
相手の事、全然話さなかったけど、この世界にも当然存在してるんじゃないのか?
会ってみたいとか思わないんだろうか…。

あ、また紀子の事を考えてた。
自分の事すらまともに何も考えてないくせに…。
お節介かもしれないなぁ…。おれ。


部活動が終わった。この世界にきて4日目。
今日は6月13日。
バスケットボールはやってて楽しいけど、やっぱり自分のレベルじゃない。
高校、社会人を通して11年間やってきたおれにとって、中学生はやっぱり中学生で…。
偉そうな事を言うつもりではなく、物足りなさを感じるんだ。
スピードもスキルも問題にならないくらい違うし。
仮にも社会人の3部とは言え、リーグに8年も参加してたんだから。
体に染み着いている感覚は、この世界にきてもそのまんまだった。
膝は全然痛まないし、体も凄く軽い。
ほかの連中からすれば、突然おれが変わったように見えるんだろうけど、実は長年の経験…。それだけなんです。
この世界にいたはずの『元宮祐作』も、中学の時は、ベンチウォーマーだったみたいだし。
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