君がいなくなって
『まさか喧嘩した訳じゃないよね』

声の後ろが騒がしい。

明日、公式練習なので色々大変なんだろうと思う。

「喧嘩はしてないよ」

『じゃあ、なんで?』

「気分的に…」

『真由!』

そーちゃんの声が少し怒っている。

仕方ない。正直に言おう。



「…私に弟か妹が出来るとしたら、やっぱり私が家にいたら大変じゃない?」

しばらくの間があって。

『えっ?』

「ママ、妊娠4ヶ月なの!」



そーちゃんが取り乱した声を上げたのを私は初めて聞いたかもしれない。

電話の向こうでパニックを起こしたかな…
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