君がいなくなって
検査薬を使ってみると、総一さんの予想通り、陽性反応が出た。

「なんで?
なんで避妊しなかったの?」

総一さんの声は明らかに怒気が含まれている。

「…わかりません」

張り裂けそうな胸に耐え切れなくなった途端、目から涙がポロポロと零れた。

本当にわからない。

いつもはちゃんとしていたのに。

あの時、拓海くんはそのままにしていた。

ただ、それを指摘出来ないような雰囲気に拓海くんは包まれていて。

私も1回くらいは大丈夫だろうって思っていた。



それが。

こんな大変な事になるとは。

「ちゃんとする事はしないと。
2人だけの問題じゃないんだよ?
その先には、こういう現実があるんだから」

強い口調で叱られた。

私は黙って頷くしかなくて。

総一さんは大きくため息をついていた。
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