君がいなくなって
「総一はそれでいいの?」

沙織さんの口調は少しイラついていて、怒りの感情も込められていた。

「決めた事だから」

そーちゃんの顔色は何ひとつ変わらない。

「あなたの子供じゃないのよ」

「…拓海の子供が他の知らない奴の子供になるよりはずっとマシだし」

そーちゃんは大きな呼吸をしてから

「それに今は拓海の子供なんて、思ってない。
…俺の子供だよ。間違いなく、俺が父親になるんだ」

「そんなの、おかしいよ。どうかしてる」

沙織さんは泣きそうになっていた。



きっと。

まだ沙織さんはそーちゃんの事が好きで。

でも、そーちゃんは。

もう、完全に気持ちが離れてしまっている。

…私のせい?



やっぱり私は一人で生きていくべきだったのだろうか。
< 50 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop