君がいなくなって
「じゃあ、行こう」

そーちゃんは目を開けてすっと立ち上がり、私の手をそっと握りしめた。

最近、一緒に歩く時は必ず手を繋いでくれる。

それが本当に安心出来るというかなんというか。

ホッとする。



「上に行ってみようか?」

車に乗って、そーちゃんは私を見た。

私と拓海くんが2人一緒に行った最後の場所。

私は頷いた。



あの場所。

私は一度、一人で行ってみたけど。

もう行く事はないかな、と思っていた。

その時の景色は冬空のせいもあって。

すべてがグレーに見えた。



そーちゃんと一緒に行けば。

何かが違って見えるのかな?
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