リアル☆タイムスリップ
 それに小さい。
 正宗もさして大柄なほうではない。

 むしろ小さいほうだ。
 口惜しいことに、百七十に満たない身長なのだが、ここでは己がでかくなったように感じる。

 正宗は、とにかく状況を整理した。
 ちらりと面々を見てみると、だんだら羽織を着ている者は、十人ほどか。

---確かあの羽織は、幹部が着ていたはずだ---

 これだけ幹部がいるとなると、まだ結成間もない頃か。

---いや、あの羽織が出来てるってことは、浪士組から新撰組となって間もない頃か---

 正宗があれこれ考えている間に、皆が連れ立ってどこかに出ていく。
 正宗もどこか浮かれた様子の男に誘われ、とりあえず家を出た。

 向かった先は島原遊郭。
 京は昔とさほど土地が変わっていない。
 現代の道順がわかっていれば、百五十年前でも十分動けるのだ。

 百五十年。
 改めて思うと、やはりぞっとする。

---でも考えてみれば、三代か四代前なだけなんだよな---

 そう思うと、さほど遠い昔の話ではない。
 が、こうも状況は変わるのか。

 周りは皆髷を結い、着物で刀を差している。
 道はアスファルトなどでなく、歩けば砂埃が舞う土道だ。
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