リアル☆タイムスリップ
『どうした。えらいびっくりしておるのぅ』

 ふよふよと呑気に漂いながら、蛍丸が唖然としている正宗に言う。

「そりゃびっくりもするわ。……あ、でも俺は帰って来られたんだな」

 それは嬉しい。
 試しに頬を抓ってみる。

「いてっ! やった、夢じゃない」

『何をしておる。夢から覚めたばっかりなのじゃから、夢であろうはずがない』

 不思議そうにしている蛍丸に、あれ、と正宗は違和感を覚えた。

「蛍丸も一緒にタイムスリップしたじゃん」

『はぁ?』

 思い切り眉を顰めて、蛍丸が首を傾げる。

『何を言うておる。タイムスリップの夢でも見たのか? そもそもじゃな、そんなことはあり得ない。今の科学では過去に行くことは可能じゃが、未来に行くことは叶わなんだ。何故か? 考えるまでもない。過去に行ったらば、未来はまだできておらぬ。ないところになど行けるわけがなかろう』

 滔々と語る蛍丸は、過去でも同じことを言った。
 それを今、あたかも初めて言うかのように解説しているのはどういうことだ。

「蛍丸は、俺が寝てる間どうしてたんだ」

『それは、いつもと同じよ。わしは自力では動けんからの。お前の様子を見るしかなかろ』

「……じゃあ、あの蛍丸も夢の中の産物……?」

『ん? 何じゃ』
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