甘え下手を治すには溺愛を

「キミが年上に甘えやすいなら、年上って思えばいいし。
 年下の方が甘えやすいって思うのなら年下でもいい。」

 そんなこと言われて分かるわけがない。
 そもそも誰に対しても甘えられないのだから。

 裕は大人の余裕が漂っている気もするけど、おじさんって年でもなさそう。
 
 甘えるって…やっぱり年上の方が甘えやすいのかなぁ。

「じゃ…25歳?」

「オッケー。」

 つい思いついた年齢を言ってみたけれど、こんな人の誘いに乗っていいのかな。
 不安に思いながら、隣を歩く裕を見上げれば「ん?」と首をかしげられた。

 ……可愛い。
 男の人でさえ自然に可愛い仕草ができるのに、私ってどうしてダメなんだろう。
 はぁって思わずため息が出てしまう。

 不意に背中に軽い衝撃があって、肩が何やら重い。
 重いっていうか、それほどでもないんだけど、つまりは後ろから抱きしめられたってこと。

「ちょ、ちょっと!?」

 ちょっと待って!
 これ、何―!?
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