テトラポットの上、ふたりぼっち。


「おい、桃子。なんや、この段ボールの山…」



「……あ」



「お前、引っ越すん?」



やばいやばいやばいやばい!!



そうして私は、ばれるのが怖くて、忘れられなくなるのが嫌で嘘をつく。



「引っ越す?それはないなぁ」


「したらなんでこんな山積みなん?」


「あれや、部屋の片づけや。」


「片付けだあ?」


「せやせや、部屋汚すぎて足の踏み場なかってん」


「俺より汚いやん…」


「引くなや」


「引くやろ、フツ―」



うまく誤魔化せた…かな。


誤魔化せといいんだけど…




うん、誤魔化せたよね。




「ほな、いこか」


「せやな~」



これが終われば、本当におしまい。


大丈夫、最後まで笑っていられるから、




君を不安になんて、させないから。









「桃子何食べたい?」


結局私たちは、食べ物を買ってから海辺に行こう、ということになった。



「りんご飴やろ、オムそばやろ、あ、ベビーカステラも食べたいな…

んーー。でも一番食べたいのは…「イチゴ飴、やろ?」」




「よーわかってんやん」


「何年目やと思っとるん。」


「5…?」


「知らん。」


「知らんのかい!」


「知らん、そんなことよりか俺はお前の隣におれたらええんや」


「~~っ⁉」


「…ふ、顔真っ赤」


「意地悪や…」


「知っとったやろが」


「そうやけど!」



こいつ…


この時、もっと適当にあしらっておけば後から辛くなることはなかったのだろうか



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