世界が終わるその時に。

その世界

シグレミside

「兄ちゃん。この神話ひどいね…」
女神の神話という神話を兄によんでもらった、私シグレミはその作品に嫌悪感を持った。多分、園作品に出てくる少年とは私たちと同じDの住人だからだ。



私たちの国『ソシカ王国』は、住んでいる住人を4評価に分けて選別している。
まず、≪Aの役人≫。住人内での最高ランクで偉業を成し遂げたものや王国に貢献したものなどがなれるランクだ。住んでいるところは王宮に近い大きな屋敷。
次に≪Bの貴族≫。名前の通り資産家や貴族などお金持ちがなれるランク。住んでいるところは大きな王宮の周りにあるマンション。
その次に≪Cの職業人≫。職人などがなれるランク。住んでいるところは王宮の周りの小屋。
最後に≪Dの住人≫。役人・貴族・職人の食糧や仕事の材料などを作る世の中でもっとも低いランク。住んでいるところは王宮から何キロ以上も離れた家畜小屋。

気づいていると思うが、私たちが住むこの王国は神話で出てきたソシカが作ったと言い伝えられている国。

この国には、こんな風に大きな格差が存在している。
神話が作られた理由は多分、その格差を記録に残しておくため。



私が住んでいる家畜小屋はブタの小屋。
そして、父母兄と私の4人兄弟。
正直言ってDの住人は差別され、生活環境も厳しかった。過酷な労働をしているにもかかわらず、収入もなければ、食糧が分け与えられるわけでもない。労働の中に食糧の製産はかなり、住人たちに疲労を貯蓄していった。

「兄ちゃん、ブタの餌やってくる」
「うん。」
兄にそう告げて外にあるブタの餌をとってくる。
小屋の外は少し雨が降っていた。
「大きくなるんだよー」
そんな風に独り言をもらしながら、ブタたちを眺める。
(こんな世界、終わってしまえばいいのに…)







シュントside

今日はポツリポツリと雨が降る日だった。
俺、シュントの住むCのエリアは少しガランとしていて、ほとんど人がいなかった。男は隣の王国との戦争で徴兵され、出国させられた。だから、今、俺の父親はいない。そして、母親は父親が出国されることがイヤで王政の命令に従わなかったために、俺の目の前で殺された。
つまり今俺には家族がいない。
別に寂しいことはない。
悲しいってこともない。
ただ一人孤独に暮らしている。
なぜ子供なのにCのエリアに住めているかというと、もともと武器商人だった父が、俺を知り合いの鍛冶師の所に連れて行き修業させたからだ。つまり俺は今、Cのエリアで鍛冶師をしている。
「おぉ、シュント。また仕事をさぼってるのか…」
隣の家に住んでいる,商人のおやじが話しかけてきた。
少し面倒臭い。
「さぼってねぇよ。」
そう吐き捨てると、商人のおやじをにらんだ。
「そうか。」
商人のおやじは少し胡散臭い笑顔を俺に向けると静かに去って行った。
あの人もいつかは徴兵される。
そして、俺もいつか…

この王国は、人の死の上に存在すると、俺は思っている。
王政を守るため出国させらて、帰ってきたものは少ない。
多分、自分の父親も多分帰ってくることはない。

この世界は余りに残酷だ…

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