花の色は 移りにけりな いたづらに
背筋を冷たい何かが駆け抜けた。
「大丈夫、家元は知らないよ…
これがどういうことか分かりますね?」
「わ、私を脅す気ですか?」
世の中で美形といわれるその顔を妖しく歪めて彼は言った…
「家元と翁(おきな)は悲しむだろうね、幼い頃から手塩にかけて育ててきた『花』が『華』になる前に手折られたなんてね…」
「っ!!!」
その言葉にカッとなってとっさに振り上げた手を綺麗な顔めがけて振り下ろした。
パシッ!
グイッ!!
「んっ!!」
その手を掴み力任せに引き寄せられ、噛みつくようなキスをされた。
「んっ!……やっ!………………やめて!!」
「っ!!」
ありったけの力で離れたとき、暁臣さんの唇を傷つけた。
血が滲んでいる…
「…どんなに逃げようとも君には俺の妻になるしか道はないのだよ?
桜芳…
君は俺のものだ…」