君のひだり
「詩織似合ってるよ!ほら、俺も着替えた!」


そう言ってニッコリ笑う蒼瀬。


私も嬉しくて記念にユニフォームを着て写真を撮った。


会場の中に入ると風がぶわっと吹いて、前髪を揺らす。


綺麗な緑色の芝生に空は綺麗な青空。


観客席には私達と同じユニフォームを着た人がたくさんいる。


「なんか、わくわくしてきた!早く見たいけど、ルールがちょっと分からない・・・」


「俺が試合観ながら教えるよ。」


そう言って私の手を引いて席に向かう。


電車の時からどこかに移動する時は必ず手を繋ぐようになった。


蒼瀬は自然にするけど、私はたまに緊張してしまう。


でも、それが嫌じゃなくて逆に安心する。


「あっ、ここだ。」


「ここ?わぁーーー!すっごい見える!こんなに近くで見れるんだね。」


「うん。俺もここまで近いのは初めて。あっ、俺食べ物買ってくるから座ってて。」


リュックから財布を取り出しながら蒼瀬が話す。


「私も行くよ!」


「大丈夫。ここに座ってて。多分詩織迷子になるから!」


「迷子!?ならないもん!・・・でも、座ってるよ。あっ、私ジンジャーエール飲みたい!」
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