鬼が往く
数日後。

歓楽街を中心に、強面の男達が無数に闊歩するようになった。

派手な原色系のスーツに、パンチパーマやスキンヘッド、剃り込みを入れた者、眉を剃り、下品な金のネックレスや腕時計を身に付け、威嚇的な言動で周囲の通行人達に恐怖心を与える、如何にもヤクザといった印象の集団。

紛れもない、関西明石組の構成員だった。

椎名の指示通り、本部に属する組員から下部組織の『枝』まで、構成員1万人の内のほぼ全員が、東京に侵攻してきていた。

その目的は、関西明石組の若頭である椎名に手を出した銀二への報復であるが、組員達はそれだけに飽き足らず、道行く若い女を攫って強姦したり、東京に組を構えるヤクザと乱闘騒ぎを起こして警察と衝突したりもした。

街のいたる所で関西明石組が事件を続発させ、都民は脅える毎日を強いられる事となった。

…自分の縄張り、ホームグラウンドが、関西明石組の連中にいいように荒らされる。

勿論それは、銀二とて黙って見過ごす気はなかった。

やられたのなら、数倍にして返す。

それが銀二の流儀。

報復に次ぐ報復。

血で血を洗う抗争が、遂に幕を開けた。









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