桜色CANDY

 君と出会ったのは春。

 あの日の空はやけに青くて

 風で舞った桜が綺麗だったから立ち止って眺めてた。

 そういえばその日は妹の誕生日の日だったっけ。

 ふとした瞬間に風で私の帽子が飛んでいって

 それを拾ってくれたのが君でした。

 ありがちな話だね。


「あの、それ…」

 
 さらさらの黒髪、少し釣り目がちな目。

 肌は白くて真っ直ぐな瞳。

 一目見て思った。

 この人のこと好きになりそうって

 これが一目惚れってやつかな。


「どうぞ。…えっと立花、だよな?」


「そう、だけど…え?」


「覚えてない?水泳一緒なんだけど…」


「ごめん…覚えてない。」


「…岩崎春輝。よろしくな。」


 自分のこと覚えられてないなんて知ってショックだっただろうに

 困ったように少し笑ってそう言った。

 その手を差し伸べた君の笑顔を見た瞬間

 私の世界は輝きはじめた。
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