秘書と野獣
「………い、いの…?」
「何が」
怯えるように見上げた私を、自信に満ち溢れた瞳が射貫くように見つめている。
まるで、その言葉の続きを待ちわびているかのように。
「……好き…で…いても、いいの…?」
震える。
言葉も、手も、体も。そして心も。
全ての震えが止まらない。
「俺が駄目だっつったら諦めるようなその程度のもんなのかよ? お前の気持ちは」
そんなことあるはずがない。
だって、ずっとずっと、あなたは私にとってただ一人の____
「……す、き…」
「聞こえねぇ」
「っ、すき……好き…。あなたのことがっ、ずっと、ずっとずっと好きっ…!!」
ぶわりと溢れ出した涙と共に口にした言葉。
ずっとずっと言いたくて、でも言えなくて。
そして一度も言葉にすることなく永遠に閉ざされるはずだった想い。
それを今、私は自分の意志であなたへと届ける。