【完】『そろばん隊士』幕末編

土方は理心流の太い木刀に正眼の構えである。

が。

岸島の構えを見て、土方は動かなくなった。

(これは)

どうやら居合でも腕は立つほうと見たのであろう。

土方が間を詰める。

岸島が下がった。

切っ先を動かして誘う。

まだ岸島は抜かない。

しばらく、過ぎた。

土方が切っ先を降り下ろすと同時か早いか、岸島は膝をついて一閃、ブンという鈍い音を立てて抜き放った。

「それまで!」

近藤の声がかかる。

「ただいまの勝負、岸島くんの勝ち」

わずかに。

岸島の胴が早かったらしい。



< 94 / 120 >

この作品をシェア

pagetop