秘密
「今でも変わって無いんだ?」
また頷いて、私は言う。
「早く別れて正解だったね。 もし付き合ってても、未だに抱かせてあげられなかったと思う。」
強がってそう言った私の目からはポロポロと涙が溢れた。
「何でもないの。 ごめん。 じゃあ、行くね。」
私は焦って涙を拭き、駆けだそうとした。
でも、彼に手首を引かれて、彼の胸に倒れ込んだ。
「俺・・・お前を抱きたいって思った。でも、お前は抱かれたくないって言う。 それって、俺を好きじゃないからだって思った。 だから別れるってあの時はそう思ったけど・・・別れた後でも、俺がお前を好きって気持ちは変わって無い。 俺は、抱けなくてもお前が好きなんだ。 だから、抱きたいって言わなかったら、また付き合ってくれるか?」
嬉しかった。 彼は本当に優しい。 付き合っている時も、いつも私を最優先に考えてくれていた。
でも、付き合うのは無理だって解ってる。
「無理だよ。 いつかまた喧嘩になる。」
「俺、お前と結婚したい。 結婚したら抱かせてくれるだろ? だから、それまで我慢する。」
結婚・・・?
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