東の空の金星
閉店になって片付けをしていると、

ドアをバタンと開けて、オーナーがやって来た。

「先輩どうしたんですか?」とマスターが口を開ける。

「シマ。」

と真っ直ぐ私の前に立って、機嫌の悪い顔で

何か言いたそうに口をモゴモゴする。


「オーナー。もっと近くで、部屋を探しますから…」と私が見上げると、

「何度考えても、他にいい案が浮かばない。
だから…シマ、この家に住み込みで働かないか?」


はい?!

住み込みでって?


「な、何を言っているんですか?
オーナーがひとりで住んでる家に、住めるわけないでしょう。」

と私が呆れた声を出すと、

「桜子がいたところ?」と遥香さんがオーナーを真面目な顔で見る。

「そうだ。」とオーナーも遥香さんを見つめ、しばらく見つめあってから、

「…いいんじゃないかな。私は賛成。」と遥香さんはオーナーに笑いかける。


…桜子って誰?なんで遥香さんは賛成なの?


「…色々心配したくないんだ。」とオーナーは下を向く。

「シマちゃん。住み込みって良いと思うよ。」と遥香さんが私に微笑む。

「良いと思うよ。」とマスターも私に笑いかける。


ええ?

3人とも、どうかしちゃったんじゃない?

なんで住み込む話になってるの?!
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