東の空の金星
帰り道に甘味処による。

今日は休日で、天気も良かったので、

江ノ島は結構、カップルや家族連れで混雑しているけど、

運良く店に入ることができた。

オーナーはアイスコーヒー。

私はクリームあんみつとお茶。

「オーナー、普段の休日ってどうしてるんですか?」

「その、オーナーってやめろよ。
呼ばれ慣れてなくて、誰のことかって思うから、
大和でいいよ。みんなそう呼んでるだろ。」

「大和…さん。?」

「そう。それがいい。
…普段の休みは…仕事だな。
たまにゴルフも行くけど、仕事がらみだなやっぱり。
他に何をしたらいいかわからない。」

「…昔から?」

「いや、桜子がいなくなってからだな。
…あいつがいる頃はあちこち出かけたな。
ドライブとか、日帰りで温泉とか、
買い物とか行くと、時間がかかってさあ。
…女の買い物ってなんで、あんなに時間かかるのかな。」と急に思い出したように聞いてくる。

「イロイロ迷うのも楽しいんです。」

「決めてから出かければいいんじゃないか?」

「思いがけない掘り出し物も見つけれれます。」

「それって 、衝動買いって言うんだろ。」

「時には衝動に従わないと、同じことの繰り返しになるだけです
そんな人生は楽しくありません。
私が、『凪』で働くことにしたのも自分の衝動に従った結果です。
女性の気まぐれも
いいこともあると思いませんか?」

「まあそうかな。
たまには衝動も悪くないな。
桜子の買い物に付き合ったついでに気に入った家具屋もみつけたし、
シマの作る美味いパンが食えるようになったしな。」

「じゃ、私は更に衝動に従って、抹茶のソフトクリームもいただきます。」と言うと、

大和さんは笑って、注文を追加してくれた。




のんびり夕暮れ時に海岸沿いを帰る。

私は気分転換ができて

明日も頑張ろうと思う。

隣をゆっくり歩く大和さんの顔も心なしかのんびりしたみたいだ。


たまには、部屋の外にでるのもいいもんだ。と芳江さんに感謝した
< 51 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop