恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
10分ほどでちょうど出発だ。

私達は乗船券を買って船に乗り込む。

その船は前の部分が、透明な窓で覆われていて、
後ろ側は屋根だけで風が気持ちいい。
後ろ側のベンチを選んで並んで座ると、船が動き出す。

すると、エンジン音すごくうるさくて、
風もすごく強くなって、私の髪を乱す。

私は
「室内に入る?」とリュウの耳元で大きな声を出す。

リュウは笑って、
「ここが、気持ちいい」と胸の前に私を引き寄せ、後ろから覆うようにする。

「風、少しはよけられる?」と私に聞く。

えーと
結構ドキドキするんですが…
リュウは普通の顔で私の瞳を覗く。

前から吹いて来る風はよけられないんじゃないかと思うけど
リュウの腕の中にいると暖かい。

「…寒くはないかな」と答えると、

良かった。と更に後ろから抱きしめられてしまった。
私は気付かないふりでおとなしくしている。

頬が熱くなるが、きっと、リュウには見えないよね。
2人とも黙ったまま船の上で風に吹かれる。

空も、海も青くていい気持ちだ。

20分ほどで岸に着く。

リュウは私の手を引いて船を降りる。私が
「観光に来たみたい」と笑うと、リュウも
「船に乗ったのは久しぶりだな。」と顔をみて
「髪の毛、くしゃくしゃだ」と笑ってそっと私の髪を梳いて直してくれる。

リュウの瞳が私を柔らかく見つめている。

こんな事をされると…
どんな顔をしたらいいのかわからない

私は小さな声でありがとうと言って俯いてリュウからそっと離れた。
< 100 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop