恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
あと、もうひとつ変わった事。

7月の始めの日曜日。
リュウが東京から朝早く部屋に帰ってきた。

「ナナコ、ごめん。どうしても断れなかった。」と頭を下げる。

リュウが酔って帰ってきた日、
菅原先生が冷蔵庫にあった、作り置きのおかずをを食べて帰った。
その後、機会がある事に
また、ナナコちゃんのご飯が食べたい、
リュウだけなんて、おかしい。
ルームメイトのくせに独り占めはないんじゃないか。
と言われたらしい。

それを柳部長が聞きつけ、自分も訪ねられる日に、日付を決めろと、リュウに迫ったらしい。

やれやれ、

柳部長が出て来てしまっては仕方がない。


「それで、いつにするの?」と聞くと、
自分が朝から準備出来る今週の水曜日はどうだろう、
柳部長も、菅原も日勤だし。
とリュウは私に聞く。

私も勿論日勤ですけど?

「手巻きずしはどうかなぁ?
あと、焼き鳥とサラダも買ってくる。
飲み物や氷も当日準備する。
だから、ナナコはいつものおかずを倍ぐらい作って下さい」とお願いされた。

仕方ない。


「大きい鍋、とボール買い足して、タッパーも必要と、後は献立かあ……」と私が呟く。

「手伝うよ。洗濯物とか干す?」と、リュウは笑顔で聞いてくるが、

「洗濯物には触らないで下さい。」と、クギを刺す。

随分前に洗濯物を仕舞われた時、
「仕事の時って、下着はベージュなの?色気が足りないんじゃない?」と言われ、
絶対に触らないようにキツく言ってあるのだ。

「リュウはコーヒーを淹れて」と頼んで、メモ用紙を取り出す。
私は考えながらメモをする。

リュウは、
「昼ごろから買い物行こっか」と笑った。

うーむ、私が断らないって解っているな。
ちょっと悔しい。
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