恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
当日。
急いで帰宅すると、お客さんはまだだった。
ちょっと安心して、仕上げに入る。

リュウは私を見て明らかにホッとした顔をする。

「なあに?」と聞くと、
「いや、もう、これ以上何も進められなくて、
ナナコが帰ってこなかったらどうしようかと思った。」と情けない顔をする。

いつもは自信たっぷりの癖に、なんで、そんな顔見せるのかな、
こういうところを見せられると、キュっと胸が鳴る。


手巻きずしにサラダに焼き鳥。
大皿に盛った豚の角煮と煮卵と小松菜を添えたものが私が作った今日のメインだ。
レンコンのきんぴらにヒジキと大豆の煮物。
ナスの煮浸しと厚揚げの煮物。
ポテトサラダは枝豆とコーンと人参といつもより良いハムを角切りにした。
きっと、コクが出て美味しいはず。

テーブルの上はいっぱいになってしまう。
思いついて、手巻きずしは私が巻いてしまおう、もう、置くところがないし、
と思ったところで、ピンポンとチャイムが鳴る。

リュウがドアを開けた。
「おじゃましまーす」と賑やかに入ってくる。
柳部長、菅原先生、涼子先輩と若手の救命医2人。

部屋に7人も人がいるのは初めてだ。

「大勢でゴメンね。」
と涼子先輩がキッチンに入って来て手伝ってくれる。
手に「お土産」とアイスクリームと、いろいろな果物も持って来てくれた。

ソファーの周りに集まった男達は、
聞いてた通りすごく美味そうと、
口々に言い合い、缶ビールで乾杯する。
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