恋人未満のルームメイト（大きな河の流れるまちで。リメイク版）

半日になった勤務を終え部屋に帰ると、リュウがソファーでゴロリと横になっていた。
リュウは私に
「お疲れー。コーヒー淹れようか」と笑顔を見せる。

機嫌が良い。
きっと、ベビーに莉緒ちゃん達が会いに行ったのを確認できたからだろう。

「莉緒ちゃんのお父さんが、いつでも会いに来て欲しい、ってリュウに伝えてって言ってたよ」と言うと、
「もお、あの家族大丈夫だろ。
まあ、相談にはいつでも乗るけど、会いには行かないかな」と笑った。

私も笑って、
「チビちゃんを連れて帰りたくなっちゃうからでしょ？」と聞いた。

「当たり前じゃん、
俺、子ども好きなんだよねー、
賑やかな家庭って憧れるね。ナナコも子ども好きでしょ？」と聞く。

「好きだよ。
でも、自分で育てるってなると、きっと悩んだり、失敗したりするんだろうな。」と顔をしかめると、
「大丈夫だよ。ひとりきりで育てるんじゃないんだからさ」とコーヒーを私の前に置きながら私の瞳を覗き込む。

リュウは瞳をそらさない。
私はコーヒーカップに目をおとす。

リュウは
「早く風呂に入って、寝な。
俺、ちょっと、出かけるから。
早く家探さないとね。
いつまでも居候って訳にもいかないし…」と笑って、出かける用意をしている。