恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
私の機嫌が悪くなって行きそうな雰囲気を悟ったのか、

あ、そうそう、とリュウは私の顔を見て、

「壮一郎のとこ、また、オメデタだって、言ってたよ。
桜子頑張ってるなあ」と感慨深げに言い、

「俺もますます頑張らないと」と呟く。

いやいや、これ以上に頑張られても、私が大変ですけど。

「ナナコ、俺、今度は女の子がいいな」と私を見みてニッコリする。

…えーっと


「…リュウ、残念ですけど、もう、受け付けは終わったの」と言ってみる。

「なんで!?」

なんででしょうね。と私は楽くなる。

「!!」リュウは声が出ない。

私のお腹を指して
「もお、いるの?」とそっと聞く。
「あたり」と私が笑うと、
「…やった。やったぞー!」と大声で言って私を抱きしめる。

そして、私のお腹に向かって、
「男でも、女でもどっちでもいいぞ!」と大きな笑顔だ。
虎太郎も訳も分からず、やったぞー。とはしゃいでいる。

周りにいた人達が驚いて振り向く。
リュウと虎太郎が抱き合って、ゴロゴロと転がる。困った人達だ。


笑い声が青空に響く。
私の大切な家族。


私達はここで生きて行く。
泣いたり、笑ったりして。

支えあって、愛し合って、これからもずっと。
この、大きな河の流れるまちで


〜 fin〜
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