恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「やっぱり、噂はほんとうだったんですね」
と今日子ちゃんは固い声を出した。

「うーん、どんな噂か知りたくないけど、
一応自己紹介しておく?
尾崎竜也です。ヨロシクね。」とにっこりするリュウ。

「どういうつもりで、奈々ちゃんに近づいているのか知りたいの」

「俺は、ナナコに前を向いて、看護師の仕事をして欲しいんだよ。」

「それだけだったら、ここにいる必要はないんじゃないの!?」

「うーん、俺はナナコを、1番近くで支えていたい」

「私がいる。
今までだって、お兄ちゃんがいなくなってからずっと、
私が一緒にいたんだから、先生は必要ない」と声が大きくなる。

「今日子 ちゃんはさ、
お兄ちゃんを失くして、
また、俺にナナコを奪われるって思っているんじゃないの?」
さらに続けて、
「俺からいわせれば、
君達兄妹して、ナナコを縛りすぎだ。
そろそろ、ナナコから手を離せよ。」

今日子ちゃんは言葉を返せず、リュウを睨みつけていたが、
突然声をあげて泣きながら出て行ってしまった。
< 58 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop