恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
私は急な展開にあっけにとられ、
それでも、今日子ちゃんを追って、玄関を出た。

今日子ちゃんの足ははやく、とても追いつけそうもない。
それでも少し走ると、何処に向かっているか、見当がついた。

私は息を切らして、部屋に戻る。

リュウは呑気に鯛焼きを食べている。
「あれ、追いつけなかったの?」と笑うリュウに怒っている暇はない。

スマホを掴み、コールする。
「藤井動物病院ですか?藤井先生に急用です。急いで繋いでください」
と、慌てた声で言うと、すぐに繋がった。
「藤井先生、上川奈々です。
いま、今日子ちゃん泣かせてしまって、
そっちに走って行ったの、だから…」と言っている途中で、

「電話が来るって思ってましたよ。
今日子負けたかぁー、うん、仕方ない。」と笑い声を上げて、続ける。

「最近、ずっと相談されてたんで、理解できてるつもりつもりですよ。
原因はリュウ先生でしょ。
俺は、2人の邪魔はするなって、言ったんだけど、
今日子聞かなくってさ、迷惑かけました。
負けたら、ここに来いって言ってあったので、ちゃんと来ると思いますよ。
奈々さんは心配しないで。
あと、リュウ先生に変わってください」と笑った声を出した。

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