恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
「ナナコ、顔が赤い」と、ものすごく不機嫌なリュウ。

「いや、だって…」
私がモゴモゴ言うと、リュウは突然たちあがり、

「柳センセー、俺もう、吐きそうだから帰ります。」と宣言して

「ナナコもバイトだろ、帰るぞ。」と腕を掴む。

キャー、お持ち帰りだー。と言う黄色い声に見送られ、
ずんずん進むリュウ。

やれやれ。

誤解されたまま、又、噂が広がりそうだ。

握られた手が熱い、
リュウ、酔っ払いなの?

リュウは広い道に出ると、タクシーを拾い、私を押し込む。
「送る」と、私のマンションの場所を告げた。


私のマンションにもうすぐ着くというところで、
ずっと黙っていたリュウが、
「気持ち悪い、吐きそう」といった。

「だ、大丈夫?」と聞くと、
「ダメかも」と情けない声を出す。
運転手さんが
「困るよお客さん!」と車を止め、扉を開く。

リュウは外に出て、座り込んだ。

私は、ため息をついて、
ここで降りますと言って、料金を払い、リュウの背中に手を当てた。

「もう少し、我慢できる?」と尋ね、手を貸して、立たせる。
リュウは口に手を当て、うなっている。
この状態で吐かないでください。
オトナなんだから。
と心の中で思いながら、私の部屋に向かう。


コレハ送り狼ってヤツかな
と疑問に思ったが、
イヤイヤ、私はこれからバイトでいなくなるから、狼には、ならないし。
と、思い直し、ドアの鍵を開いたのだった。
< 63 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop