恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
月曜日。
今日は2人とも救急外来に勤務だ。

「早く起きろー。」とリュウはドアの外から私に声をかけ、
持ち込んだジューサーでうるさい音を立てながら特製スムージーを作る。
このスムージーは少し曲者。
大雑把な分量でつくるので、とんでもなく渋いことがあるのだ。
思い切り顔をしかめる私に
「今日のは鉄分多め」と機嫌よくニッコリ笑いかけてくる。

仕方なくしかめつらで飲み干す私を、急き立てながら、朝食用のサラダをつくる。

私が、スポーツウェアに着替えると、
(リュウのプレゼント。リュウも似たようなものを着る。)
朝食の準備を一旦中止して、一緒に川沿いまで散歩する。

リュウは決して走らない私の周りを行ったり来たりジョギングの真似ごとをしたり
、ストレッチしたりしていて、始終機嫌がよい。(やっぱり犬。)


部屋に戻ると私がシャワーを浴びている間に簡単に朝食をしあげている。

そして、リュウがシャワーを浴びている間に、
私がトーストを焼き、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、

「いただきます。」
とどちらともなく言い合い、食事をするのだ。

食事の後片付けもリュウの担当。
30歳を過ぎても女子は、出かける前に時間がかかるのだ。

用意が出来たら、新聞を読んでいるリュウより先に部屋を出る。

一緒に出勤なんかしたらすごい噂になってしまう。

イケメン属で、独身のこの男はもっか人気急上昇中なのだ。

しかし、彼は周りのことを、気にすることはない。

今の彼の関心ごとはなぜか私を健康に太らせることなのだ。

最初の月曜日のとき、一緒に部屋を出ようとするリュウを、なんとか説き伏せて、

一緒に出勤しないと約束させたのだ。

やれやれ。
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