あの日失った想い
お母さん、お父さん。行ってきます!



なう。新幹線中です。たまたま、仁美と席が近くで話している。




「由佳里、私やっぱりダメかも…」



仁美が悲しげに瞳を揺らして突然言い放った。



「サックスのこと?どうして!?仁美、頑張ってたじゃない!」



新幹線の中なに大声出してしまった。やばいやばい。




「そうだよ?頑張ったよ。




自分のなかでは……でも、違うの。




先生にお前の音は気持ちがこもってないって……もう、何が正解なのか分からない……」





彼女の頬に涙が伝った。そんなに辛い思いしてたんだ。




仁美我慢してたの?それもずーっと。



気づいてあげられなくてごめんね。

< 97 / 282 >

この作品をシェア

pagetop