てるてる坊主にコロサレタ
「ほのかっ、見てはだめっ!」

「子供は下がりなさいっ」


ほのかの母親の潤子が、ほのかの両目を覆うように隠して、後ろへと引っ張った。

一緒にやってきた奈穂実の母親も、奈穂実の腕を掴むと野次馬の一番後ろへと連れて行った。


「潤子、……多華江はもしかして 」


わたしたちからはもう死体が見えないのを確認すると、奈穂実の母親が潤子にたずねた。
この光景で多華江がてるてる坊主を使ったと気がついたみたいだった。


「……そうよ。何度も止めたけれどダメだった。けれど、まさか先生を……」


潤子の答えに、奈穂実の母親は声にならない声で

「……なんてことを」

と言って首をゆっくりと振った。
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