決断は一瞬、後悔は一生
「美雨、今日は一緒に帰ろっか」
珍しく、優翔君が私に帰りを誘ってきたこの日。
この日、この時、私が優翔くんの誘いを断っていたら、あんなことにはならなかったかもしれないのに。
この時の私は嬉しさで思いがこみ溢れて、「断る」なんて選択肢は見えてなかったのかもしれない。
本当にこの時は、幸せで周りが見えないぐらい浮かれてたのかもしれない。
この幸せも、束の間なんて思いもせずに。
私は、幸せしかないと思っていた。
こんな溢れはみ出しそうな幸せが突然苦しみに変わるなんて思いもしなかった私は軽想だったのかもしれない。
この時の私に今言いたいこと。
それは、
「優翔くんに嫌われてでも、その誘いを断って」
それができたのなら。
その選択肢が見えていたのなら。
今は変わっていたかもしれない。
いや、変わってたのに。
未来は見えない。
それだけ、不安もあれば、楽しみもある。
そんなこと、この時の私は、わかってるつもりで分かっていなかったんだ。