身代わりペット
手が震える。

そこで、ハッと気が付く。

もしかして、最近感じていた視線って、コレ……?

――ピロン♪

また着信が鳴り、慌てて手に取り内容を見ると、

『俺、別れ話に納得してねーからまだ別れた事になってないよな?したらこれ立派なウワキだよな?』

と、自分にはなんの非もない、と言う書き方をしたメッセージが送られて来た。

「人違いでもなんでもなくて、私に送って来てる……」

違う人に私達の写真を証拠に送っても意味がない。

そうなると、さっきの婚約破棄、訴える、浮気等々は私に当てた言葉で間違いないようだ。

「は?なに?なんで?」

婚約破棄とか浮気とか、意味が分からない。

私と和矢は婚約なんてしていないし、そんな約束もしていない。

結婚の話を持ち出すと不機嫌になるのは和矢の方だったし、浮気をしていたのは和矢の方。

私は浮気なんて一度もした事がない。

それは誓って言える。

じゃあ、訴えるって……?

和矢がなんの話をしているのか、さっぱり分からなかった。

今のこの状況が全く理解出来ない。

――ピロン♪

携帯がまた鳴る。

開くとそこには、さらに信じられない事が書かれていた。
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