身代わりペット
それからまた少し、課長の気が済むまでじっとしている。

(ところでコレ、いつまでやっていなきゃいけないんだろう?)

そろそろ仕事に戻らないと遅れを取っちゃうし、長時間二人で席を外しているのはちょっといかがなものか。

「駄目だ」

突然、課長が呟いた。

「ど、どうしたんですか?」

声色が真剣そのもので、不安になって聞き返す。

「このままじゃ…このままじゃ…中条を放してやれなくなってしまうっ!仕事に戻らなきゃならないのにっ!」

課長が、悲痛な叫び声を上げた。

「あぁぁぁっ!この、中条のフワフワがっ!」

そう嘆いている間も、課長の手は止まらない。

「課長。でも、仕事放って出て来ちゃいましたし、そろそろ戻らないと」

「分かってる!分かっているんだ!でも…この手がっ!」

課長の、私の頭をなでる手はやっぱり止まらない。

しかし、オフィスを飛び出してかれこれ15分が経つ。

このままじゃ埒が明かないし、課長には申し訳ないけど強制的に手を放してもらわなければ。

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