俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
「だったら、やっぱり言ってくれたら……」

「そうだな。言っておけばよかったのかもしれない。待っていて欲しいって。でも、言えなかった。言わなかった」
そこで大輔は塔子を見つめた。

「でも、また会えた。こうして塔子がここにいる事、しっかり自分を持った大人になった塔子を抱きしめれたこと。それが結果であって、あの子供のころの気持ちは今の為だって思えるよ」
大輔は嬉しそうに微笑んだ。

「…そうだね」
塔子も微笑んだ。

「私もあのままだったら、きっと大学でも頑張ってなかったと思うし、仕事もやってなかったともう。私は今の仕事が好きだし、頑張ってきてよかったと思ってる」
塔子はそこまで言うと、
「私もあの時の気持ちは、今のだいちゃんに会うためだったって言えるよ」
塔子は、満面の笑みを浮かべ、少し照れたように顔を背けた。

「何だよ……」
大輔は、少し不満そうに顔を背けた塔子の顔を覗き込んだ。

「だってなんか、こんなの……照れるよ……。ずっと、追いかけてばっかりだったし、大人になってからは、箱の中に気持ちは置いたままだったし……」

「箱??」

大輔は訳の分からないと言った声を出した。


「だいちゃんへの気持ちは17歳の時に、心の中の箱に何重も鍵をかけてしまったから」

「なんだよそれ」
大輔はクスクス笑った。

「じゃあ、今その箱に俺の塔子への気持ちをたくさん入れて?そして入っていた俺への思いを俺にちょうだい」
大輔は自分で言って、恥ずかしくなったのか顔を背けた。
「なんか、俺のセリフ気持ち悪いな……クソ。塔子といると俺……室長の仮面もかぶれないし、余裕なさすぎる……」

そうぼやくように言った大輔に、今度は塔子がクスクス笑った。


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