俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
母は玄関に行ってから、しばらくすると、
大輔と一緒に大輔の両親も一緒に顔を出した。

「あっ、おじさん、おばさんご無沙汰してます」
塔子はニコリと笑うと、二人を見た。

「塔子ちゃん!久しぶりね~!すっかりきれいになっちゃって!」
昔から明るい大輔の母は塔子を抱きしめると、塔子の頭をなで回いs田。

「おい、塔子ちゃんが困ってるぞ!」
大輔の父がすまないねという顔をみんなに向けた。

その場は笑いが溢れた。

改めて、向かい合って2家族が座ると、おもむろに大輔の父が頭を下げた。

「塔子ちゃん、いや、片桐家の皆さんにだな。申し訳なかった」
塔子はいきなりの謝罪に慌てた。

「お……おじさん!どうしたの!頭あげて!」

「いや、俺が心無い事を大輔に言ったばっかりに……。こんな時間がかかってしまった」

(あっ……)
塔子は大輔の父親の謝罪の意味を理解し、一瞬言葉に詰まったがにこやかに笑った。

「おじさん、本当に顔を上げて」
大輔の父が頭を上げたのを確認すると、塔子は続けた。

「おじさん、本当におじさんには感謝してるの。あのまま、子供の恋愛をして大輔さんに迷惑掛けなくてよかったって心から思ってる。あの頃の私は空っぽだったから」
塔子は少し恥ずかしそうに言うと、大輔の父親を見た。
「あの頃よりは、私も世間も知ったし、仕事もした。今なら大輔さんを少しは支えられる自分になれたかなって思ってる。だから、この10年は私達にとって必要な時間だったって心から思ってるから」
大輔も塔子の言葉を黙って聞いていた。

「塔子ちゃん……ありがとう」
大輔の父は改めて頭を下げた。

「本当に!おじさん大丈夫だから。ねっ?」

その様子に、また笑いに包まれた両家族を見て、塔子はホッと胸をなで下ろした。


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