俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
電車を降りてホームに降りると、東京と違う緑の香りがした。

(昔、家族旅行でだいちゃん家族と来たっけ……)
塔子はハッとし、感傷に浸っていた自分に気づきギュッと目を瞑った。

駅を出てタクシー乗り場を探していると、
「塔子!」
呼ばれた声に、心臓が一瞬で大きな音を立てた。

その声の方を見ると、スーツに身を包み、颯爽と歩いてくる大輔が目に映った。
「迎えに来た」
「ありがとうございます。千堂室長、わざわざ申し訳ありません」

「片桐さん、荷物をこちらへ」
貼り付けたような笑顔を自ら向けた塔子だったが、一瞬にして大輔の空気も変わったことに、塔子の胸はズキッと痛み塔子はぎゅっと唇を噛んだ。

大輔は、車のトランクに塔子のスーツケースを入れると、助手席のドアを開けた。

「乗ってください」
冷たい大輔の声に、塔子は促されるまま車に乗り込んだ。
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