俺様室長は愛する人を閉じ込めたい~蜜愛同居~
しばらくお互いが口を開かなかった。

赤信号で停車すると、
「唇……。噛むな」
静かに言われた言葉に、塔子は唇をまだ噛んでいたことに気づいた。
ゆっくりと唇を開放すると、少し痛みが走った。

「血がでてるぞ……」
そう言うと、大輔はそっと塔子の唇に指で触れた。
驚いて顔を上げた塔子の目に、切なげで、悲しい瞳をした大輔がいた。

「な…んで…そんな顔するの?」

後ろからのクラクションに、大輔は慌てて車を発進させた。

車はしばらく走り、ホテルの地下駐車場へと駐車した。
「降りて下さい」
大輔はトランクから荷物を出すと、その荷物を持ち、先に歩いて行った。
塔子も慌ててその後を付いて行った。
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