特別な君のために

包帯が巻かれた右手中指をひらひらさせて、あははと笑ってみせる。

「しかも運の悪いことに、こういう時に限って電話がかかってくるんですよね。
なるみからの着信に妹が勝手に出て、自閉症特有の喋り方で自分語りを始めちゃったんです。
もう、大変でした」

「それは確かに大変だったね。なるみには妹の障がいのこと、話してた?」

「いいえ。話す必要もなかったし、妹は私達と違う学校に通っていたから、接点もないと思っていたんです。でも、一年のランちゃんは、妹と同じ幼稚園だったって。
昨日、私が通院で学校を休んでいる間に、多分みんなに妹のことは知れ渡っちゃったと思います」

「みんなに?」

驚いたような表情で、奏多先輩に問われた。

確証はもちろんない。でも、少なくともなるみとランちゃんにはバレてしまった。
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