特別な君のために
部活が始まる前、進路指導室で奏多先輩のいる星路(せいろ)学園大学を調べてみた。

偏差値は……頑張れば手が届く範囲にある。

指定校推薦枠もあることはある。でも、今更指定校を狙うには内申点が足りないだろう。

AO入試は、そもそも行っていない大学だった。

公募制推薦もなし。

社会人でも帰国子女でもない私は、指定校推薦か一般入試しか選べない。


私の場合、目標は一般入試に絞られた。

星路学園大学のパンフレットを一部もらって、過去三年分の赤本をコピー。

コピーしながら、パンフレットをぱらぱらとめくってみる。

文学部、経済学部、商学部、教育学部……見つけた、心理学部。


臨床心理学科、児童心理学科、福祉心理学科……これだ!

福祉と心理を学ぶことで、今よりは千春の気持ちがわかるようになるかも知れない。

もっと、千春が過ごしやすいように支援できるかも知れない。

お父さんとお母さんの負担を減らすことができるかも知れない。


……私もずっと逃げ回っているのは、もう終わりにしよう。

奏多先輩を追いかけていこう。



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