王様と私のただならぬ関係
 



 その晩、ピンポーンと鳴る前に、明日香はドアを開けた。

 なにか気配を感じたからだ。

 そろそろ来そう、というか。

 ドアの向こうから、人の気配がしたので、大地か秀人だろうと当たりをつけたのだが。

 大地のような、気を抜いたら、やられるっ! というような危険な気配ではなく、無色透明な気配を感じたので、秀人だろうな、と思ったのだ。

 ドアを開けると、秀人が驚いた顔をした。

 ……ような気がした。

 まあ、ぱっと見は、全然変わってはいないのだが。



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