王様と私のただならぬ関係
「そんな隙を与えちゃ駄目っ。
 何処から私みたいな女が湧いてくるかわからないじゃないのっ」

 えーと……。

「私はね、もう貴女が相手ってことで、気持ちの整理がついたの。

 ああ、この子ならしょうがないわ。
 私と正反対の人が葉月さんの好みなのねって」

 えーと、微妙にディスられている気がするのですが。

 気のせいでしょうか……。

「だから、お願い。
 さっさと結婚して。

 一からやり直すのは結婚してからでもいいじゃないの。

 あ、如月さん、荷物、預かってますよー」
と何処が話の切れ目かわからない滑らかさで、ちょうど通りかかった大地に静は言った。

「……ありがとう」

 今の話を聞いていたのか、大地はこちらを見ながら言ってくる。

「あっ、でっ、では、失礼しまーすっ」
と明日香は、すすすすっ、と鍵を手に逃げた。





< 226 / 298 >

この作品をシェア

pagetop