王様と私のただならぬ関係
「いえ、それはそれとして、いろいろと難しいことがあるんですよ」
と言うと、

「いやあ。
 なんだかわかんないけど、あんたひとりで難しくしてるんじゃない?」
と言われた。

「まあ、今すぐ結婚って、私はどうかと思うけど、でも。

 葉月はさ。
 研究バカだから。

 今はあんたという珍しい研究対象が現れて、そっちに神経向いてるのかもしれないけど。

 そのうち、新鮮味が薄れてきたら、また、研究に没頭し始めて。

 付き合いは続いてるけど、なんだかいつまでも結婚に踏み切れないカップル、になっちゃうかもよ」

 うっ。
 すごいリアルに想像できるっ! と思ってしまった。

 既にタイミング逃した感があるんですけどっ、と手にしていた伝票の束を握り締めていると、緋沙子はこちらを見下ろしながら、

「今の時代、女が可愛く待っててもなんにもいいことなんてないわよ。

 葉月なんて、草の研究してるだけあって、本来、草食系もいいとこだからね」
と言って、笑う。
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