王様と私のただならぬ関係
「いえ、それが一言もしゃべらなくて。
 名乗らないし。

 あ、私が紫の薔薇ですかと言ったら、青だ、とは言ったんですけど。

 そのまま帰っていきました」

「お面かぶってか」

 はい、と言うと、
「ドアの外に白いお面の人とか、ホラーか」
と言ったあとで、

「よくドア開けたね」
と言われ、

「いや……だって、どう見ても、葉月さんだったんで」

 髪型も服装も。

 いつも近くに来ると、ふんわりと香るいい匂いも。

「今日も来るかもしれないぞ」

 ふふふ、と秋成は笑う。

「あっ、じゃあ、もしかして、毎日、薔薇持ってくるつもりだとかっ。
 薔薇って、本数でも花言葉があるじゃない」
と静が言い出す。

 一本なら、ひとめぼれ。

 二本なら、この世界は二人だけ。

 三本なら、愛しています。

 四本なら……
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